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エンパワーメント・ラボ  デルフィス
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ジークムント・フロイトとカール・グスタフ・ユングは、心の病を抱えた患者、そして自分自身についても深く掘り下げ、医学界における精神科治療の理論と技術の構築のみならず文化や芸術、思想哲学の分野にまで影響を与えた存在です。

◎フロイトの精神分析学

yjimage1.jpg  フロイトによる心の構造
無意識の発見」をしたことで有名なフロイトはオーストリアの精神科医で、生理学・脳神経学等について研究した後に催眠療法で開業しました。
患者を寝椅子に横たわらせ、ある言葉から自由に連想させて潜在意識の内容を意識化させていく自由連想法の創始者です。葛藤は潜在意識に欲動や感情が抑圧されていることで生じるため、催眠状態にさせることで「~~してはならない(~~ねばならない)」等といった概念を作りだしている超自我の働きを弱め、言語化・意識化させる治療法です。
睡眠中に見る夢も、無意識に抑圧されているものを意識化させるためのヒントになるという前提で治療で扱いました。「夢の解釈は、無意識の活動を熟知する王道である。」という言葉が有名です。
自由連想法を毎日、何年も行う形の治療法が正統的な精神分析と呼ばれました。

キーワード:ヒステリー、カタルシス、幼児期の性的発達、性的虐待、PTSD、夢判断、エディプスコンプレックス、死の欲動、仕事と愛、アンナフロイトetc

 フロイトの理論は、後継の多くの治療者たちによって研究と実践が積み重ねられ、現代の心の病の治療に大きな貢献をもたらすものとなっています。

◎ユングの分析心理学

yjimageCAHZZEN2.jpg ユングによる心の構造
フロイトから大きな影響を受け、後に独自の治療技法と理論を構築したユングはスイスの精神科医で、当時の精神医学ではほとんど治療できなかった統合失調症患者の治療に尽力したことと、やはり夢を用いた治療法で有名です。連想実験により、“感情の複合体”という意味のコンプレックスについて研究しました。
フロイトが考えたように、無意識を個人的な体験での記憶やトラウマ、欲動の「ゴミ捨て場」でとしてではなく、「人類の歴史が眠る宝箱である」と表現したユングは、連想の先に人類に共通する「集合的(普遍的)無意識」の存在があるとしました。夢の分析においては、世界各地の神話や伝承との関連が見出されることがあり、治療においては過去のトラウマに原因があるという考え方よりも、未来に向かい目的を見いだす方向性を重視する点が特徴的です。
思考・感情・感覚・直感の4つの機能と外向・内向を組み合わせた人格のタイプ論を示しました。

キーワード:コンプレックス、外向と内向、シンクロニシティ、症状の目的、元型(アーキタイプ)、仏教や易等東洋文化、曼荼羅、エラノス会議、箱庭療法、ゲーテ、錬金術etc



◎大人の心の症状と乳幼児期との関連
 精神分析学の誕生からおよそ100年が過ぎ、多くの後継者による研究の結果、治療やセラピーで役立ついくつもの考え方が生まれました。以下はそのうちの1つです。

心の健康度に関する3段階(とても大まかにご紹介しています)
①重いうつ病、統合失調症に代表される精神病水準・・・・・胎児期、新生児期に対応
  まるで赤ちゃんのように一人では生きていくことが難しく、関心や安心、養育環境が大切な段階。
  自分と他者との間の境界線がない世界。また、そのような人生のごく初期の頃の心の傷が関連して
  いる可能性。
  思春期以降の人がストレスを抱え、この段階の赤ちゃん返りが起きると、現実検討力は低下し妄想
  的になると予想されます。独り言の世界、主観的な世界の中にいることを「間違っている」と説明
  されることよりも心身ともに安心感に包まれることが大切です。

②人格障害、虐待、重い心身症等境界例水準・・・・・2歳くらい~5歳くらいに対応
  普段は自分と他者は個別の存在という認識は保たれているが、自分自身の思考や感情、善や悪と
  いったイメージを、相手の中にみてしまう投影同一視という現象が起きる。
  物事をall or nothing 、0か100か、白か黒かと極端に認知し、それに反応する段階。
  自己主張ができるようになってきた幼児は、物事の認知や理解が極端で、激しく泣いたかと思った
  らもう笑っている、といったように切り替わりもはっきりしているということがありますね。
  思春期以降の人でも、心理的にはこのような状態になることがあります。自己評価、他者評価が揺
  れて、感情も安定せず出方が激しいため、人間関係そのものも不安定になりがちです。
  悩みや激しい感情を自分で抱えることが困難なため、本人は苦しんでいるが悩んでいないように
  見えることがあります。周囲にいる健康度の高い人もストレスを受けることがあります。
  怒りの感情をコントロールすることと、はやり安心することが大切です。

③神経症水準・・・・・6歳~児童期
  自分が自分であることの安心感は得ていて、自分と他者との区別はできている段階。
  意識では認められない衝動やネガティブな感情が生じた時に、抑圧したり知的に考えたりして無
  かったことにした結果、葛藤が生じる。いわゆる昔でいうノイローゼの段階で、「悩む」状態。
  理性と感情、建前と本音のバランスを取り、無意識を意識化することによって症状を軽減すること
  が可能です。

 ※現代では精神病は脳機能の側面から理解され、お薬の処方による治療が行われることも多いです。 
 ※すべての方がこのどこかに当てはまると断定するものではありません。
 ※例えば円形脱毛症等の症状、何度も確認しないと不安になる強迫神経症の症状でお困りで、心理的
  状況としては境界例水準にあるという場合もございます。
  お困りの現象と心の状況について丁寧に確認し、適切な対応を行うよう努めています。
 ※他の機関で医学的診断をお受けになっていらっしゃる方はその旨お知らせください。
  当オフィスは医療機関ではありませんので、診断は行うことはできませんことご了承ください。
  医学的なケアがあると安心な場合はご希望をおうかがいしながら専門機関をご紹介いたします。

 カウンセリング、セラピーと耳にした時、思い浮かぶイメージは人それぞれ様々ではないでしょうか。どちらかというと、“恥”という概念に関わりが深いと考えられている日本においては、心の治療というものに対しては消極的な面があるかもしれません。
 もともと西洋においては、パートナーや家族の前では、心身ともに健全であることを示すべきであるという考え方があり、自分のケアに時間とお金をかけるということは自立した行動であるという価値観があったそうです。社会的ステータスにつながることすらありました。セラピストと相談者との間には、たとえ相談者の身内に対してもセッションの内容を伝えないという姿勢があり、それが守秘義務※につながりました。
 セラピーは、ただ甘やかすとか、何でも受容するということとは関係がなく、相談者の方と、相談者の方がこうなりたい、という目標に向かって協力しようとするセラピストとの間での精神的な契約のもとに行われます。
 心の問題に対して家族以外の人間と共に向き合っていくということは、恥ずかしいことではなく、自分自身や周囲の人たちの調和と健康について積極的に取り組むという点で自立した立派な行為だと考えます。
※守秘義務について
 基本的にはセッションの内容はセラピストのみで保持します。未成年の相談者様の場合、たとえば小学生の方との1対1のセラピーにおいて、セッションの進捗の様子について保護者の方へは大まかにお伝えすることがございます。そのお子さんご本人が、セラピストを通して伝えてほしいと希望したり、セラピストが報告した方が良いという判断を行い、本人が了承した場合は報告させていただくことがあります。問題解決の為に最善かどうかということを最優先して、その都度判断してまいります。細かいことにつきましても、保護者の方やご本人に納得していただけるまでご説明することを心がけております。










当方では、心の状態について理解する上で、ある程度深層心理学の視点を用いますが、セッションの中でいわゆる精神分析的な専門用語や神話について積極的に提示するということはございません。初回のセッションにおいてお話し合いをした目的に向かって、必要があれば無意識の意識化を行うという点においてのみ、精神分析的なサイコセラピーであるということができます。夢の扱いについても、1つの仮説にあてはめるのではなく、まずご本人様の心に浮かぶ連想や感情を重視し、セッションが進むために有効と思われた場合にのみ解釈や情報提供を行います。精神分析学と分析心理学に固執するのではなく、ご本人様の個性や価値観を優先し、セッションが役立つものとなるよう他の技法や情報についても学び活用するよう心がけております。

yjimageCAABG61K.jpgフロイトの用いた寝椅子

お子様のセラピーについて

サイコセラピーの理論や技法は、フロイト以降、子どもの心の治療法にも拡大されました。治療者・研究者としてはフロイトの娘であるアンナ・フロイトやメラニー・クライン、マーラー等が有名です。言葉だけを使うのではなく、いろいろな遊びをセラピストと共に行ったり、絵画などのイメージで表現してもらったりする中で、お子様自身は、セラピストと遊んでいる感覚で過ごしたり、時には感情を発散させることが可能となります。
遊戯療法(プレイセラピー)と呼ぶこともありますが、遊びを通してセラピューティックな対応を行います。基本的にはお子様のセッションでも、対話によるセラピーが可能ですので、遊びを取り入れるかどうかはその都度判断してまいります。それぞれの発達や情緒の様子に合わせた対応を行いますのでご安心ください。
また絵を描くなどのイメージを用いることは成人の方のセッションでも可能です。状況により風景構成法やバウムテスト※などの描画法についてご提案をさせていただくことがございます。表現することでセラピーとしての効果を持ち、表現された内容に関してゆっくり話し合い、ご自身への理解と癒しを深めて頂くことが可能です。※A4サイズの用紙に田や山などから構成される風景を自由に描きこんでいただくのが風景構成法、樹木を描いていただくのがバウムテストです。

乳幼児期の体験と心の病

乳児期に「基本的信頼感」、幼児期に「精神的な母子分離=自立」を達成していくことは、自分と他者(世界)の間に健全な境界の壁を作ることでもあります。この壁が薄いと、投影同一視が起こり、児童期以降に心理・対人関係での問題を生じさせる可能性があります。乳児期まで退行した時、心の壁はガラスのように薄く透明で、外界と内界の区別がつきにくい状態となり、強烈な不安のために主観的世界にとじこもってしまったり、眠ってばかりいるといったことが起きるかもしれません。幼児期に退行した場合、他者と自分の「思考」と「感情」の区別がつきにくく、例えば怒りを感じているのは自分なのに相手が怒っているという認知の歪みを生じさせ、人間関係を思い通りに操作や支配をせずにいられなくなるなど困難な状況が生まれることがあります。投影同一視が活発な状況では不健全な共依存状態となり、不登校や原因不明の身体症状、知的には優れているのに成功・達成することを無意識に避けてしまうなど様々な状況につながっていることもあります。心で起きていることをセラピーで言語化し整理していくことで改善していけます。→育児やアダルトチルドレンを改善するセッションについてはこちらLinkIcon

心・人格の病とトラウマ

カーンバーグによれば、境界例という言葉は2つの意味で用いられます。1つは、「境界型人格構造(水準)」をさしています。幻聴や幻覚などの精神病の症状はなく、ある程度現実検討力を保っていますが、神経症水準よりも困難さを抱えている状態です。感情や言動においてスプリッティングや投影同一視が起きやすく、変化が激しいため対人関係でもトラブルが生じやすいという特徴があります。性格傾向の違いに関わらずその特徴が認められる場合があります。もう1つは「境界性パーソナリティ障害」です。診断基準はDSMとICDで、DSMではⅢ(1980)から掲載されています。心理的ストレスに陥った時は、誰でも防衛機制を働かせたり退行したりしますので、境界例水準に移行することはあるのですが、相手や自分を理想化したり逆に極端に価値下げしたりする、リストカットや過食嘔吐など行動化が激しい、薬物等への依存が激しい等の特徴が顕著で、基準に当てはまった場合に医師から人格障害と診断を受けることがあります。境界型水準の方や重い情緒不安を抱える方にお話をおうかがいしていくと、成育歴において過酷な体験をなさっておられることが少なくありません。少しでも言い訳をすると躊躇(容赦)なく叩かれた、生まなきゃよかった、あんたなんていらない、気持ち悪い等と言われた、等の心身における虐待、また性的虐待です。対人関係での認知の歪みが治療者にも投影され、怒りの感情に翻弄されることがあるため治療関係の維持も難しいことが多いですが、ご本人の意思と治療者との信頼関係が維持できればサイコセラピーで改善していくことが不可能ではありません。※例:不登校などの社会不適応、または自律神経失調症や軽うつ等と診断を受け投薬治療を受けていた思春期以降の方で、人格と対人関係上の不調に焦点を当てたセラピーを行った場合(家族同席セッションを含む)、早くて1年、重い場合で3年以上のプロセスを経て投薬が必要なくなり、社会適応状態も改善された方がいらっしゃいます。

 映画『危険なメソッド
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S.フロイト、C.G.ユング、S.シュピールラインの関係が描かれた作品。