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エンパワーメント・ラボ  デルフィス
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 ~心の問題は予防することとケアすることが可能です~

“三つ子の魂100まで”とは一度は耳にされたことがあるかと思います。
幼いころの性格は大人になっても変わらない、という意味を持ちますが、幼い頃の体験が人格形成において大きく影響するといった意味でも解釈されることがあります。

こんなエピソードを聴いたことがあります。
あるところに、泥棒をしてしまう子どもがいました。両親も、盗みを行い逮捕されました。
子どもは大人たちにどんなに指導されてもなかなか変わることができません。
ある日、担当したケースワーカーがじっくり向かい合って話を聴いていくと、その子はこんなことを言いました。
「僕が盗みをした時だけ、お母さんが笑ってほめてくれるんだ。僕は、物が欲しくて盗むんじゃなくて、お母さんに笑ってほしかったんだ。」

強い胸の痛みを感じずにはいられない、真実の言葉です。

自分も盗みをするのですから、両親にはもともと人格的・道徳的な面で問題があったのでしょう。
愛情飢餓や虐待傾向のある環境で育てられると、反社会的な行為を踏みとどめる理性や道徳性が健全に育たないことがあります。
また、そのような傾向をもつ人が親になった時、言葉を交わすことができない乳幼児の世話がとても苦手になってしまうことがあります。
周産期から3歳までの間というのは、こどもにとって“生きていて大丈夫”“生まれてきて良かった”といった漠然とした、でも生きていくためにとても必要な「基本的安心感」を得る重要な時期です。
おそらくこのエピソードのお子さんは、幼い頃にとても大きな不安や苦痛を感じながら育ち、時々与えてもらえるお母さんの笑顔や褒め言葉は食事と同じくらいに生きていくために大切なものだったのでしょう。

全ての大人は、かつて子どもでした。
すべての子ども=すべての人は、幼い頃、ある共通したことを環境に求めるのではないでしょうか。
それは、自分の存在をまるごと愛してくれ、適切に世話をしてくれる存在です。
その存在が、自分をこの世に生みだしてくれた母親であることを願っていると思います。
そして時に、人は善悪の判断を二の次にしてまでも、自分を認めてもらえる瞬間を選択してしまうことがあるのでしょう。
しかし親となる側にとって、子どもを産んだだけですぐに立派な育児を行える保証はどこにもありません。親は育児を経験することで親になっていきます。
子ども本人にとっても、育てる立場の者にとっても、育児は始まった時から心身両面の発達という複雑で繊細な宿題を与えられているのです。

一方で、“親がなくとも子は育つ”という諺もあります。
たとえ親を失おうとも、人は成長していけるということを表していますし、それもその通りだと思います。
すべてを親のせいにしたところで何の解決にもなりませんし、本人の力と意志や努力で人生は変えられるということも忘れてはならない真実です。
ですので、何が何でも理想的な親が必要だと言いたいのではありません。
やむをえない事情によって、自分の子どもを育てられない場合もあるでしょう。親の人格的傷付きが激しく、虐待傾向を改善できない場合には、お互いのために子どもと離した方が良いこともあります。


ここでは、思春期以降の心や人格の病、関わる人々の葛藤や苦痛を予防する目的で、望ましい育児についての提示をします。

「生きていくために最低限必要な甘え」とは、大まかに①(乳児期)食事・排泄・清潔・睡眠に関する世話と保護 ②(幼児期)①に加え、心身ともに自立と依存の嵐を受け止める ③(児童期)社会で生きていく上で必要なルールを(自尊心を傷付けることなく)伝えられること※と考えています。

こどもが生まれ育つという当たり前の出来事の中で、私たちはとても多くのことを体験し学びます。
誰でも間違えますし、余裕がなければ傷付け合います。
大切なことは、間違えないことや傷付け合わないことではなく、たとえ困難に遭っても、乗り越えていかれる健康な心を育てることです。
少しでもご家族の笑顔が増えるよう、そして一人でも多くの子どもたち(かつての子どもたちも含めて)が最高最善の人生を歩んでいけるようお手伝いができればと思います。

相談室で出会った多くの子どもたちが、「誰のために生きているのかわからない」「何のためにそれ(大人たちが要求すること)をしなければならないのか理解できない」と口にします。
 その子たちの養育環境の特徴としては、言葉かけが少ない、丁寧でない、過干渉、親の言動の矛盾といった点があげられます。
 ②の段階までさかのぼって親子関係におけるコミュニケーション調整を行うこともしばしばあります。どうしてダメなのか、何のために言う事をきかなければならないのかが感情レベルで納得できないまま育ってきて、思春期になって自立に向かう時に、得られなかった「なぜ」の部分で葛藤し、バランスを取ろうとするのです。
 また、お子さんの中には、非常に小さい頃から哲学者のようなことを口にする子がいます。自分自身はとても大切に扱われるべきだと主張することもあります。
 多くの大人は、生意気に育ってしまったら将来苦労すると思い、“控えめで従順な子ども”になるように特に厳しくしつけようとしますが、そうすると二次的に情緒面での問題を併発してしまう可能性が出てきます。
 そういったタイプのお子さんの場合は特に、小さい頃からお子さんの尊厳を尊重する、つまり対等であることを意識して接することが大切ですが、養育者の自尊心が低いと、適切な対応が難しくなる場合があります。存在を尊重することと言いなりになること、おだてることは異なります。適切な権威、距離を保ちながら、養育者もこどもも自尊心が傷付かないようなコミュニケーションを行うことが大切になります。
 お子さんの個性によっては、きちんと制限を与えてくれるか、なぜ禁止されるのか理由を話してくれるかどうかを試し続けることもあります。
 権威的で支配的なアプローチとは逆に、引きすぎて弱すぎる態度も適切ではありません。強く主張すれば簡単に引いてしまう養育姿勢に対して、子どもは孤独と怒りを感じてしまうものなのです。
 簡単に屈してしまうことや、条件付け(いうことをきいたら御褒美をあげる、○○しなければおやつをあげない、等)は子どもの心の発達に良い影響を与えませんので、養育者側も日常的にどのような言葉を選び、話し方をするべきか準備しておくにこしたことはないでしょう。


◎インナーチャイルド

大人になっても、内面に子どもの心は存在しています。それをインナーチャイルドと呼ぶことがあります。
それは時には、無邪気さやストレートさ、遠慮のない感情表現等で表現されるかもしれません。肉体年齢がいくつであっても、この部分が活発に働いている人は若々しい印象を与えるでしょう。
こどものような創造性を発揮し、無邪気に楽しむことは健康にも良いことです。
一方、マイナスの面もあります。インナーチャイルドが傷付いていると、愛情飢餓や自己中心性として表現されてしまうことがあるからです。

共依存や虐待、家庭内暴力、アダルトチルドレン等の背景に、関わる人々のインナーチャイルドの傷付きが関係していることがあります。
例をあげてみます※。

①ある不登校のケースでは、一見面倒見のよいしっかりした親御さんなのに、どんなに応援していてもこどもさんの元気が出ない、といったことがありました。じっくりお話をうかがっていくと、その親御さんはこども時代に両親が忙しく、あまりかまってもらえなかったそうです。自分のこどもには、そういう思いをさせまいと一生懸命面倒をみているつもりでした。でも、こどもさんが自分の意見や予想外のことを言ってきた時に感情的になってしまい、混乱し、やや支配的な態度になってしまいがちでした。こどもさんの方はその部分に対処することに疲れてしまい、生きている意味がわからないとまで言うようになって、登校への意欲が低下してしまいました。
 この親御さんは、かつて自分がしてほしかったこと=面倒を見てもらうということを、自分の育児を通して満たそうとしている部分がありました。ですので、こどもさんの人生の中に自分のインナーチャイルドをみていたのです。こういった部分は無意識の働きで、ご本人にもなかなか気付けません。面倒をみてもあげているのだから満足なはずだという思いこみが強くあって、言うとおりにしない我が子の言動が理解できない、さらには怒りすら感じてしまうという現象が起きていたのです。
 心理的には、子どもは支配されているという形をとりながら、親のインナーチャイルドの傷付きを癒す役割を演じていました。このような時、心は不適応や身体症状等のもととなり軌道修正の機会を得ようとすることがあります。“健常だからこそ”起きる心の問題と理解することができます。

②リストカットのケースに出会った時のことです。お話をうかがっていくと、背景に深刻な虐待的養育環境の問題があることがわかりました。御家族に集まっていただきました。お子さんの話やご家族の歴史について皆さんからうかがっていると、おじいさんが「俺だって、よしよししてほしいんだよ!」と声を荒げました。そのおじいさんは、戦後の厳しい時代に子ども時代を過ごされ、大人からあたたかく守ってもらえるという体験が少なかったのです。その苦しみは世代を通じて厳しすぎる養育姿勢となって伝達していました。おばあさんも、成人しているこどもたちもそれを理解していて、おじいさんは優しい面もあることを知っているので、誰にも止めることができませんでした。孫の世代になって他者が介入することで初めて掘り起こされることになりました。
 ですから心や家族の問題というのは、よくお話をうかがっていくと、誰が悪い、ということを決めるのは難しくなります。時代のせい、ということにしてため息をもらすしかないような瞬間もあります。
 でも、前へ進むには、1つ1つ心の歴史、真実を明らかにし、ほぐし、感情を開放し、傷を癒していくことが大切です。

(※複数の事例を融合・一部変更したフィクションです)

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